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1984年北京でVTSシステム建設工作会議が交通部長(大臣)も出席して開催されました。会議では実験結果及び北侖港レーダー局の建設成果が認められ、また、重要な港へのVTSシステムの早期建設が要求されました。そして、上海港VTSシステム1期工事及び青島VTSシステム工事の開始が、交通部の重点建設工事項目に決定しました。中国最大の港である上海港のVTSシステムが正式に研究設計段階に入ったのでした。
交通部はVTSシステムの建設に多くの投資をするとともに、VTSに関する法律、規則等の制定に力を注ぎました。「海上交通安全法」、「内河交通安全管理条例」は中国における水上交通管理の主管機関が安全監督局であることを規定しています。IMOの「VTS指導」及び中国のVTS規則、設計、建設の研究も行いました。
1990年以後、青島、連雲港、鎮江、大連等の港にVTSシステムを導入し、15のレーダー局、5つのVTSセンターを建設しました。現在建設中のVTSシステムは、長江の南京から溜河口の11のレーダー局、4つのセンター及び煙台、成山頭水道、広州港黄埔から桂山島の範囲です。
上海港のVTSシステムの建設構想は、1974年、周恩来総理が提案した「3年で港を変化する」計画によって始まりました。10年に渡る必要性及び実行性の論証を経て、1984年、第8期5カ年計画で上海港、長江の水域をカバーする上海港第1期VTS工事の開始を決定しました。
第1期工事のシステム構想は、長江口灯船から昊淞湖口までの50数海里において、昊淞湖口信号所、長興島、横沙島にレーダー局を建設し、遠(A)区、中(B)区、近(C)区、長江口内(D)区に分割することでした。VTSシステムは1994年9月に運営を開始し、船舶交通、航行安全のため情報を提供してきました。1996年中期までに、16万の船舶の位置情報を提供し、1,500隻の違法航行船がその航行を改め、船舶に対し1万5千の情報を提供しました。
システムの質は良好で、管理する職員の技術は熟練しており、設備への依存度は大変高く、利用度は99パーセントに達しました。
システム導入後1年で事故は大幅に減少し、前年に比べ17件、率にして44パーセント減りました。2年目には11件減少し、17パーセント減りました。同時にすばらしい経済効果をもたらし、長江口水道を通過する船舶がこれまで1日平均5から10隻だったのが、18から20になり、最大で27隻もの船舶が通過しました。つまり長江口水道通過能力はVTSシステムが導入される前の2倍以上になったのです。
今後、中国は更にVTSシステムの発展を推進していかなければなりません。将来の重点地区は瓊州海峡、台湾海峡等の重要水道です。沿岸、内河、主要航路、主要港湾においてVTSシステムをカバーし、VTSシステムのネットワークを築いていかなければなりません。
最後に中国の航路標識及び測量業務について説明します。中国の航路標識及び測量業務は交通部安全監督局の主管で、その主な任務は、航路標識、無線航行システムの建設及び管理、港内の測量作業、航海資料、図誌の発行です。
中国の航路標識及び測量業務は、北海、東海、南海の三大海区に分かれて実施しています。交通部の下の14の海上安全監督局、15の航路標識区、35の航路標識ステーション、3の測量大隊がそれぞれ各地区の航路標識維持管理、航路測量、海図及び関係航海資料の編集並びに発行に責任を負っており、天津、上海、広州海上安全監督局は航路標識及び測量業務の指導的立場にあります。
現在、2,600の航路標識を管理し、5,000分の1から12万分の1までの160の航海図を出版し、航路

 

 

 

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